a16zのゼネラルパートナーに投資について聞いた:Paypal元社長でAirbnb初期投資家

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Andreessen Horowitz(a16z)ゼネラルパートナーであるジェフ・ジョーダン氏にインタビューしたのは16年9月。諸事情あって公開が遅れに遅れ、今更感がありますが、録音を改めて聞いて再確認しました。なお、僕からの質問文はかなり省略していますが、普段のメディア寄稿とは異なって文字制限もないので、回答はほぼ素のままです。(※ジェフ・ジョーダンさんのプロフィールは最後に掲載)

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問:a16zではアジアへの投資をどのように考えていますか?

a16z創業からの7年間、我々はアメリカ市場で成功しうる企業への投資を中心に手掛けてきましたが、今後は拡大させていく考えです。実際、世界各地で素晴らしい企業が立ち上がる中、我々がアジアで過ごす時間も年々増えています。中国で成果を上げているセコイアらと協力しながら、次の一手を模索している状況です。

なぜ我々がアジアに注目しているのかーー。それは、アジアで学んだ教訓や事例を、アメリカでも活用できるからです。アジアへ行かないと、逆に出遅れて損することが出ているのです。過去数年は、やはり中国に注目してきました。テンセント、アリババ、バイドゥといった急成長企業から多くのことを学んでいます。例えば、我々の中国メンバーが、wechatの先進的取り組みについて書いたブログ記事を読んだ時は、驚かされました。こんな素晴らしいビジネスがあったのか、将来はこの方向性じゃないかーー、と気付かされた方がアメリカ内にも大勢いました。

一方で、我々は日本にも時間を充てています。実際、a16z共同創業者のベン・ホロウィッツが去年来日していますし、今日私も東京へ来ています。実際に日本へ足を運ぶ前は、日本人は比較的“控えめ”で“熱意“を他人に見せるようなことは少ないーー、そんな認識を抱いていましたが、今抱いている印象は違います。学びたい、関係性を築きたい、会社を成功させたいーー、そういった熱意を強く感じました。
 
問:ジェフ・ジョーダンさんの投資経験は主にコンシューマ向けですが、その観点からどのような日本企業に注目されていますか?
 
楽天、メルカリ、LINEのようなマーケットフェーズにある企業です。今、彼らはグローバル展開を進めていますが、私自身が注目しているのはホーム展開、つまり日本市場における打ち手です。各社のホーム展開に注目しているのは、結論から言うとグローバル展開が非常に難しいものだからです。

今更感がある話かもしれませんね。ただそもそも、自国の市場のニーズにあった商品・サービスをつくることも非常に難しく、その同じものを違う市場に導入しようとしても、現地のニーズ、消費者、競合他社など、自らの市場と異なる要素があまりに多い。そのまま同じように展開しても、多くの場合、他の市場では成功できない。そのため、同じ会社であっても、グローバル展開においては、その各市場のニーズに合ったものをゼロから作り上げる必要があります。

グローバルで大きな成功をおさめることは、自分の国で成功させる会社を作るよりも2倍以上難しい。私の経験においても、Airbnbという成功事例はありますが、ebayのアジア展開には失敗したと思っています。

問:投資において、どのような点に重きを置いていますか?特に、考慮できる材料が少ないシード・アーリー段階での判断についてお伺いしたいです。

投資判断については、ステージ毎に考慮すべき材料が変わるものですが、我々が最も重視するのは創業者です。どのステージかを問わず、創業者のプロダクトに対する熱意・勇気・忍耐強さーー、それら全てを要求されるのがスタートアップの在り方といえます。創業者の本質を掴んだ上で、投資を実行しています。

私がAirbnbの創業メンバーと最初に話した時、社員はまだ28名でした。Pinterestの時は8名でした。データが少ないから不安が大きくなる、ということはあると思います。ただ、両社の創業者はストーリーテリングが非常に優れていました。彼らには“語りたい物語”があり、そのビジョンに人々を共感させてしまう魅力を持ち併せていました。

成長過程において、スタートアップだけでは管理しきれないものが沢山出てきます。例えばエグジット戦略においては、M&Aや市場の動向などを把握する必要があるでしょう。しかし、そのようなことについては、あまり考えないほうがいいと思います。スタートアップは、会社を成功させることそのものに、全てのエネルギーを使うべきです。良い会社、良いプロダクトをつくっていれば、自ずと道は切り開けるものです。

問:投資先との関係性を構築していく上で、どのようなコミュニケーションを心掛けていらっしゃいますか?

投資家として、私が何より一番大事にしているのは、設立した企業、その方に支配権があるという考えです。選択肢に対して、我々はあくまで“推奨”する立場ですね。良いアイデアを当てようとしますが、最終的な支配権はファウンダーにあります。LinkedInのリード・ホフマンが面白い引用をしているのですが、創業者がクルマの運転手だとして、投資家はその助手席に座っている存在だといえます。

私には“平均的な一日“というのがありません。今日、私は朝の5時半に起床して、投資先2社と難しい課題をこなしました。一つは、新しい投資を考えている企業とのディールを、もう一つは法律上の問題に直面している企業との相談です。それらを終えて、今ここであなたと話しています。(※日本時間の朝10時)

時差が発生しようと、このようなことを朝の5時半からやり取りしているのは、ごく普通です。関係性の構築、法律の方向性、投資先の動向、新しいビジネス、それら全てに対して毎日考え抜かなければいけない。それが一番楽しいことでありながら、一番難しいことといえます。ただ、こういった仕事は、私のようなADD(注意欠陥障害)気味な人間には最高の仕事だと感じています。

Profile:
Andreessen Horowitzのゼネラルパートナー。PayPalの社長として、同社をオンライン決済のグローバルスタンダードとして確立、ebayによる買収も導く。レストラン予約サイト大手OpenTableの代表取締役、ハリウッド・エンターテイメントのCFO、ウォールト・ディズニー・ストアにおける財務担当も務めていた。AirbnbやPinterestの理事も担う。主な投資歴はCrunchBaseにて。 

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