モノづくりを楽しむための素材!組込み開発向けのmruby【Ruby東京プレゼンテーション2013】

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2013年3月11日に開催された「Ruby東京プレゼンテーション2013」へ参加してきました!主催は福岡県Ruby・コンテンツビジネス振興会議、製品の市場展開支援・ビジネス連携を目的とした情報交換イベントです。

4回目となる今年度は「ものづくり×mruby(軽量Ruby)」をテーマに、ソフトウェア、ハードウェア、デザイン、テクノロジーなどの垣根を越えたジャンルの人々をmrubyでつなぎ、イノベーションを生み出すことをコンセプトにしていました。というわけで、2つのパネルディスカッションや会場の模様を(メモ程度に^^;)レポートします!

◆一つ目のトークセッションテーマは「mrubyいまむかし」◆

■概要

Rubyが世の中にもたらしたものは何か?mrubyとはいったい どのようなものなのか?オープンソースソフトウェアのビジネスモデルとmrubyとの関係、 Rubyやmrubyでサービス、製品を作り込むことの意義は何なのか?Ruby関連の有数のゲストを迎え、mrubyの魅力、期待などを語るトークセッション!

■登壇者
 ・まつもとゆきひろ氏(Ruby開発者)  
 ・増井雄一郎氏(FrogApps, Inc.) =モデレーター
 ・田中和明氏(九州工業大学)  
 ・森正弥氏(楽天株式会社)  
 ・橋本明彦氏(みずほ情報総研株式会社)  
 ・立久井正和氏(株式会社インターネットイニシアティブ)  
 ・相澤歩氏(Heroku,Inc/株式会社セールスフォース・ドットコム)


■メモ

◇mrubyとは?

mrubyは福岡発のプログラミング言語で、2012年4月にGitHubへ公開。Rubyの高い開発効率・安全性を保持したまま、組込み開発へ適用できるようにした軽量Rubyであり、アプリに対しての主従関係はCRubyと逆転しています。というのも、mrubyは機器などへの組み込みを意識しており、単体でつかわれることはほぼありません。アプリやボードがあり、C言語に対してプラスアルファしていくという立ち位置のようです。つまり、アプリが主で、mrubyが従となります。

そのため、特定のCPU・OSに期待できない、OSがないかもしれない、そういった場面が想定されています。また、リアルタイム性が要求されやすい場面も想定、人間に対して気付かれない程度のリアルタイム性を実現しようとしています。

◇Rubyでサービスをつくる

以前はホビー向けだったRubyが、この5年ほどでビジネスサービス・運用面でもかなり普及しました。下記、印象的だったコメントです↓

<森正弥氏(楽天株式会社)>
アプリケーション(Ruby On Rails)、ツール、ミドルウェアでRubyが普及しました。Rubyは痒い所に手が届き、開発をサポートしてくれます。我々は新興国進出時、通常はJavaを選択するが、エンジニアサイドがRubyを推すことがあった。(経営サイドの「ここはjavaだろう」という判断に対して、現場からの「Rubyで創りたい」という声をもらう)今まで、ウェブ系サービスで使われていたRuby。そして、デバイスとウェブ系サービスを使う橋渡し役としてのmruby。これからは「ビックデータとの関連」にも期待したい。

<相澤歩氏(Heroku,Inc/株式会社セールスフォース・ドットコム)>
特にサンフランシスコやシリコンバレー界隈では、歴史的にRuby利用者が多い。スピード感としてRubyを選択し、プラットフォームでherokuを使う事が多い。それでは、なぜそうなるのか?「生産性を発揮するために」という点に対して、Rubyは使っていて楽しい!
プログラマーに選ばれるのは、プログラマーが書いていて楽しい言語です。ただそれでも、「海外の人をドンドン巻き込む」という課題がまだあり、海外からのコントリビューションをあげていきたい。

<まつもとゆきひろ氏(Ruby開発者)>
「なぜ、楽しいか?」。頭の中のイメージの”具現化”を素早く!RoRについても、”聞く相手のいるコミュニティ”が既に醸成されており、人間ネットワークを構築しやすいのも影響しているでしょう。


◆二つ目のトークセッションテーマは「MONO RUBY」◆

■概要
もの作りとは何か?ツールの発達、異なる分野の人々との知・技・感の共有が 何を生み出すのか?mrubyはどこにいくのか?オープンソースソフトウェアとオープンソースハードウェアの橋渡しに mrubyが果たすべき役割。 エコシステムとしてのmruby。これからのものづくり、mrubyが実現する世界、両者の融合で起きる イノベーションについて、先駆者が語るトークセッション。   

■登壇者
・まつもとゆきひろ氏(Ruby開発者)
・田中和明氏(九州工業大学)
・谷口恒氏(株式会社ゼットエムピー)
・小林茂氏(情報科学芸術大学院大学)
・湯前裕介氏(株式会社ホットプロシード)
・渡邊大知氏(株式会社ジェイ・エム・シー)
・木下慶彦氏(Skyland Ventures) =モデレーター

■メモ

<小林茂氏(情報科学芸術大学院大学)>
「Makerムーブメントで期待されること」。全ての人々は「消費者」ではなく、「作り手」であるという非常に大きな認識の変化がおきつつある。かつて書籍で起きたロングテールがモノでも起きる。デジタル工作機械の活用によってアメリカのような労働単価が高い国の製造業でも新興国に十分対応できる。

人間って「創る」ということが一番の喜び。「ものづくり=なぜ?×なにを?×どうやって?」。こういったイベントで展示されたモノに対して、「スペックは?・・・ふーん」という会話ではなく、「なんで、つくったのか?」「どうやって、つくったのか?」という会話へ。

「ハードウェアでスケッチするためのDSL」としてFunnel。ハードウェアにおいて、ソフトウェアのように柔軟かつ手軽に「スケッチ」しながらアイデアを発展させられ、かつそのまま「製品」にできるようにするにはどうすればいいか?プロトタイプでは必要充分な機能や品質でよかったものが、メーカーで製品化しようとした時、他社や社内政治の影響で機能過多や過剰品質に陥るのを避けるにはどうすればいいか?デジタル工作機械から伝統工芸の職人まで、ものづくりに関わるプロセスの全てをAPI化するにはどうすればいいか?


<まつもとゆきひろ氏(Ruby開発者)>
工業製品への組み込みとして、mrubyはそこまで貢献できない。商品のためではなく、モノづくりを楽しむためという存在。これを最初の第一歩として。マスプロダクトの領域で貢献できる余地があるのでは???という意識も。

<谷口恒氏(株式会社ゼットエムピー)>
PINO、AUVO、miuroなどのロボットを製作してきた。2008年から、カーロボティクス・プラットフォームを始める。

<渡邊大知氏(株式会社ジェイ・エム・シー)>
光造形を365日稼働しており、複雑な形状も一体成形できます。会場に、私の頭蓋骨・心臓・耳を造形したものを展示しているので(笑)、ぜひチェックしてみてください。


<木下慶彦氏(Skyland Ventures)>
ジェイ・エム・シーとSkyland Venturesは、ソーシャルゲーム会社向けのキャラクターグッズ制作を共同で展開。ソーシャルゲームデベロッパー向けに、「イラストのみの状態から1週間でプロト制作!」、「1000個単位の量産なら2週間にてワンストップで提供!」というサービスで、「イラスト〜3Dデザイン〜組み付け・基盤組み込み〜塗装・稼働」を一手に担う。下記は、第1弾となるポケラボのロボット↓


◇mruby誕生の裏側とこれまで。mrubyはどのようにして生まれてきたか?インターネット分野、ハードウェア分野にどのような変化をもたらしたのか、またそのポテンシャルは?

<まつもとゆきひろ氏(Ruby開発者)>
mrubyは素材。それ自体では美味しくない。あくまで、組み込むことによって本体の価値を上げていきます。組み込みエンジニアにとってmrubyを使う理由はないけれど、違うカルチャーから飛び込む人々にとって魅力的だと思います。

<田中和明氏(九州工業大学)>
mrubyはターゲットを最初設定しておらず、意識していたのは「組み込み」というキーワードのみだった。プロジェクトを進めるにつれて、①新規開発・プロトタイプを試しにつくってみるハードウェアベンチャー、②既存のものをパワーアップさせる、といった領域での貢献を強く意識するようになった。mrubyは単体ではなく、C言語との組み合わせ。

<小林茂氏(情報科学芸術大学院大学)>
スタートアップがあまりやらない領域があります。例えば、洗濯機や冷蔵庫はそんな出てこない。製造業単体でも変えられる余地はあまりなく、単なるスマホ連携ではNG。例えば、mrubyを組み込んだ状態の冷蔵庫が出てきて、そこにベンチャーが絡んでいくという図式がいいのでは。mrubyは、かなりセンスが問われるでしょう。

<湯前裕介氏(株式会社ホットプロシード)>
問い合わせのあったお客様に「3Dプリンターを買わないで下さい」と言うことも。「ボタンをポチッ、ウィーンと動いてすぐ完成」では済まない。認識に違いがあると、タンスのこやしになるのが関の山。(笑)そして、我々は「3Dプリンターで何がつくれるんですか?」という答えないようにしています。創造性がそこで終わってしまうから。


<谷口恒氏(株式会社ゼットエムピー)>
ソフトウェアの生産性をあげる、生産性の高いmruby。自動車関係者はどうしてもハード思考。やはりサービスと接点を持たないといけない。ラピッドプロトタイピングに良い。

<湯前裕介氏(株式会社ホットプロシード)>
arduinoはなぜ売れたか?について、ユーザー側の選択肢がめっちゃあったからだと思います。IT系の人は「モノやサービスをモニターから出したい」と思っており、多様性が市場へ更に広がっていく。

<まつもとゆきひろ氏(Ruby開発者)>
「みんながダメというほど、当たる」ということは多い。Rubyも当初、「オブジェクト指向?流行るわけない」など、色々な批判を受けた。ただ「140文字だけのマイクロブログって、どういうこと?→Twitter流行った」、「実名のSNSって、どういうこと?→Facebook流行った」という風に、過去を思い返すとこういう流れが多い。そういう意味で、mrubyは良いスタートダッシュが切れたと思っています。(笑)

◆会場雰囲気



◇出展者
・NPO法人軽量Rubyフォーラム
・福岡CSK、Manycolors
・リーボ
・ロジックリサーチ
・近畿大学産業理工学部
・NPO法人九州組み込みソフトウェアコンソーシアム
・春田建設
・ホットプロシード
・アイ・エル・シー
・ゼットエムピー(下記写真は、1/10サイズのロボットカー)
・インターネットイニシアティブ
・ジェエムシー
・情報科学芸術大学院大学


◆感想

「おもしろい!」の一言に尽きた。改めてRubyの面白さに気付かされると共に、mrubyに対する期待感が高まりました。「ジェイ・エム・シーとSkyland Venturesの1週間プロト制作」についても、回を重ねる毎に技術力が高まるだろうし、1000個のロットを2週間で手に入るスピード感はやはり魅力的。ハード系・ソフト系問わず、モノづくりに対する熱気を感じますね!!!いや〜〜〜、それにしても面白いイベントだった^^!!!!!

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